痔(つぼ症状編)


悩みの痔にはツボが効く

東洋や西洋を問わず昔から多くの人々の悩みのタネであったのが、痔です。当然のことながら、たくさんの日本人も痔に悩まされています。痔の痛みは強烈ですし、昔は「寺に入るまでは治らぬ病」といわれてきたほど、治りにくい病気でもあります。
古来から痔の神や痔の妙薬についての話はいくつも伝わっていますし、歴史上の有名な人物の中にも痔に悩んだ人は大勢います。例えば、フランスの政治家リシュリューや日本の代表的な俳人松尾芭蕉も、じつは痔に悩まされていました。
さて、多くの人々を悩ませてきた痔ですが、じつは肛門周辺炎、裂痔、痔核や脱肛など様々な種類があります。この中でも、肛門の周辺がうっ血して血管が太くなってイボのような痔核(いぼ痔)と、硬い便が出るときに肛門粘膜のひだが裂けて出血する裂痔(きれ痔)が日本では多く見られます。
痔核になる原因は体質的なことが関係しますが、便秘や妊娠、そして日常生活で硬い椅子や冷たいものの上に座ることや長時間自動車の運転をすることなどが引き金になることもあります。
痔核の症状としては、排便時に脱肛するようになり、症状が軽いうちは手で少し押し込めばもとに戻りますが、重症になると常時脱肛するようになってしまいます。こうなってしまうと外科的治療を施す必要が出てきますので、ともかく痔核になったら症状を悪化させる原因であるお酒や辛い刺激物をなるべく避けるようにしましょう。
裂痔のほうは、便秘によって便が硬くなることが最大の原因とされていますので、便秘になりやすい女性に比較的多く見られます。裂痔の症状は、排便時に激痛がおこり出血することもあり、悪化すると括約筋の反射性痙攣や排尿障害がおこる場合もあります。
このように大変困りものの痔ですが、昔から温灸療法がとてもよく効くとされてきました。
なかでも百会のツボは、痔になかなかの効果を発揮しますので、是非とも試してくださいね。




百会(ひゃくえ)

百会は、頭のてっぺんにあり左右の耳の延長線上と鼻からの延長線とが交わるところに位置するツボです。百会に、5〜10本に束ねたツマ楊枝で1〜2分間くらい刺激を与えてから、温灸療法をおこないます。タバコの火や中国温灸で10〜15回繰り返し近づけたり遠ざけたりしながら刺激すると効果的です。その際には、くれぐれも髪を焼かないように注意しましょう。

また痔にならないために、そして痔を悪化させないためには、以下のことに気をつけましょう。

・便秘にならないよう気をつける。
・肛門周辺を常に清潔に保つ。
・香辛料やアルコール類などの刺激物を避ける。
・長時間座り込まない。
・お尻を冷やさない。
・なるべく洋式のトイレを使用する(和式トイレは、りきんでうっ血しやすいため)。
・昆布水(昆布2〜3片を一晩水につけたもの)を毎日飲用する。

以上のようなことを日常生活で気をつけましょう。